【テストマッチ】8月第4週試合結果
Summer Nations Series 2023

イングランド 22 v 30 フィジー
イングランドのホーム、トゥイッケナムに乗り込んだアウェイのフィジーが互角以上の戦いを見せ、イングランドに8回目の挑戦で歴史的な初勝利を挙げた。
イングランドは前半かとトライを重ね、幸先の良いスタートを切ったかに見えたが、徐々にペースをつかんだフィジーが得意の展開ラグビーで圧力をかけ、PGを返して8対3で前半折り返し。
前半終了間際にイエローカードをもらったフィジーではあったが、展開とフォローは途切れず、後半開始早々の43分にようやくのトライを獲得。コンバージョンも決めて逆転に成功した。さらに攻め立てるフィジーは52分にトライ・コンバージョン、57分にはPGを追加してイングランドを突き放した。イングランドも意地を見せ、58分と69分に再度トライを奪い返してPGをさらに加えたフィジーに1点差まで迫ったが、73分に後半から出場していたフィジーSHシミオネ・クリヴォリにトライを献上して万事休す。
イングランドにとっては、主将オーウェン・ファレルなど数人を出場停止などで欠く苦しいメンバー編成となったが、W杯を目前に控えた痛い敗戦でショックは大きい。一方のフィジーは日本を含めたパシフィックネーションズシリーズで全勝の力を存分に発揮して、W杯に向けた準備の充実ぶりを見せた。
スコットランド 33 v 6 ジョージア
優勝候補フランスに接戦の1勝1敗と準備の確かさを印象付けたスコットランドが貫録の勝利。
前半攻めあぐねるスコットランドに堅実なプレーで圧力をかけるジョージアが12分、21分のPGを確実に決めてリードを奪い、前半を0対6のスコアで折り返した。
後半ようやくエンジンのかかったスコットランドが決め手のある両WTBを強力FWがけん引して47不運から立て続けに3トライを獲得。その後も攻め続け、終わってみればホームながら33対6の圧勝に終わった。
ジョージアは前半の戦いぶりが光る一戦となったが、ハードワークの継続とチーム力の底上げに課題が見えた。
イタリア 42 v 21 日本
イタリアが地元で粘る日本を終盤で突き放して快勝した。
イタリアはアイルランドには完敗を喫したものの、スペイン、ルーマニアのW杯出場国に対して格下相手とは言え固いディフェンスと華麗なパス回しを見せて快勝した勢いに乗り、前半からSHスティーブン・ヴァーニーやこの日WTBに入ったアンジェ・カプオッツォの華麗なキックパスを受けた逆WTBモンタナ・イオアネのトライで15分にラインアウトからのサインプレーで獲得したWTBジョネ・ナイカブラのトライを不意にした。PGの取り合いで前半終了間際に決めたSO李承信のPGで17対11と後半に期待を持たせる終わり方となった日本ではあったが、後半に入っても攻め手を欠き、イタリアにPGを献上。後半から李に代わって入ったSO松田力也がバックスラインのテンポを変えて作った間隙を縫って最後はFB松島幸太郎が決め切って良い形のトライを見せたが、イタリアもスピードと展開力のあるBKがパス回しからゲインを重ね、56分にこの日2本目となるWTBイオアネのトライ。さらにPGも加えて28対16と日本を突き放しにかかる。日本も目指すスピードある展開ラグビーを体現すべく相手陣で左右にボールを振りながらようやく作ったチャンスをCTBディラン・ライリーが決めて70分で28対21と1トライ差まで詰め寄った。ここから勝ちに行った日本の選択がことごとく裏目に出て、終了間際に2本のトライを献上し、終わってみればWTBイオアネのハットトリックを含むダブルスコアの決着となった。
日本は、個々のプレーで見れば力の差は大きくないとはいえ、いざという時の決定力や判断力に大きな課題を残した。一方のイタリアは、ニュージーランド、フランスという優勝候補のいるプールで厳しい戦いを強いられることになるが、この日プレーヤー・オブ・ザ・マッチのWTB/FBカプオッツォなど、若く才能のあるタレントの存在が本番に向けて明るい材料を提供した。
アイルランド 17 v 13 サモア
サモアが世界ランキング1位のアイルランド相手にアウェイで大健闘し、あわやの試合を見せた。
前半幸先よくFBジミー・オブライエンのトライで先制したアイルランドだったが、その後はパワーとスピードで圧力をかけるサモアに徐々に押し込まれ、36分にはFBダンカン・ピアアウアのトライとゴール、さらに終了間際のPGで7対10とサモアに逆転を許して前半を終了。
後半に入っても勢いのあるサモアの圧力に劣勢となったアイルランドはPGを献上して7対13とリードを広げられる展開に。ここから強力FWを前面に押し出した本来の持ち味を発揮して疲れの見え始めたサモアに圧力をかけ、密集から抜け出したSHコーナー・マレーのトライで1点差、さらに後半から入ったHOロブ・ハーディングが逆転のトライをもぎ取り、僅差を守り切っての勝利となった。
アイルランドは、ややメンバーを落としての調整試合だったとはいえ肝を冷やす展開で修正点や課題を明確にする機会となった。サモアは、フィジー同様の歴史的快挙を目前にして最後は決め切れず惜敗したが、力のある所を存分に見せた。
テストマッチ

ニュージーランド 7 v 35 南アフリカ
第三国となるイングランドはトゥイッケナムで行われたW杯優勝3回の王者同士の対決は、歴史上まれにみる一方的な展開でディフェンディングチャンピオンの南アフリカが完勝した。
ニュージーランドは前半終了間際、この日2枚目となるイエローカードを受けたLOスコット・バレットがレッドカード退場となって2トライ2コンバージョンを献上した前半の劣勢をさらに苦しいものにした。後半に入っても人数不利を埋められないニュージーランドが攻勢を続ける南アフリカに太刀打ちできず、後半早々のHOマルコム・マークスや59分の交代出場HOムボンゲニ・ムボナムビのトライで突き放され、一方的な展開となり、67分のFLクワッガ・スミスのトライで勝負を決定づけた。
ニュージーランドは、後半入ったSHキャメロン・ロイガードの71分のトライで一矢報いた形にはなったものの、南アフリカの縦横無尽の攻撃に翻弄されて本来のスピードや展開力を発揮できず、人数不利もあって最後まで修正できなかった点はW杯本番に向けて後味の悪さを残した。一方の南アフリカは、人数有利を生かすしたたかさや切れのあるBK陣の波状攻撃がはまった形で、W杯前の最終戦をこの上ない結果で終えることができ、弾みがついた。
ポルトガル 17 v 30 オーストラリアA
ポルトガルがホームにオーストラリア代表セカンドチームを迎えての一戦で力のある相手に善戦を見せた。
スペイン 3 v 62 アルゼンチン
スペインはホームとはいえ実力差のある相手になすすべなく、9トライ7ゴール1PGを献上する大敗を喫し、ティア1との差を見せつけられた。
チリ 26 v 28 アルゼンチンXV
チリが地元にアルゼンチンのセカンドチームを迎えての一戦は、最後までもつれる大接戦の末、アウェイのアルゼンチンXVが勝利を収めた。
フランス 41 v 17 オーストラリア
キープレイヤーに負傷者が続いているフランスが、強豪相手に快勝して不安を払しょくして見せた。
前半早々の7分にラインブレイクからCTBジョナサン・ダンティが押し込んで先制のトライ。オーストラリアも負けじとバックスの展開からWTBマーク・ナワンガニタワセがトライを返して2点差まで詰め寄ったが、フランスFBトマ・ラモスの正確なPGで16対5として前半を終了。後半に入ってもフランスの攻勢は続き、WTBスリ・ヴニヴァルがたまらずペナルティ。フランスにPGを献上すると、折り返しのリスタートからさらに攻め込み、中央密集からWTBダミアン・プノーへのキックパスであっさりとトライを奪ってフランスがリード。これでは終われないオーストラリアも、FLフレイザー・マクライトが押し込んでトライを返し、26対12と追いすがるが、フランスはSOマチュー・ジャリベールからのキックパスを冷静に押さえたWTBガバン・ヴィリエールと巧みな個人技で抜け出したWTBダミアン・プノーの立て続けのトライで突き放し、終了間際のオーストラリアWTBヴニヴァルのトライを献上したものの、最後は交代FBメルヴィン・ジャミネのPGでW杯前最終戦をきれいな勝利で終えた。
総評
日本の仕上がりの悪さが目立つ。決め手のあるアウトサイドBK(WTB、FB)を生かすスピードとハードタックルが身上のはずが、不用意なキックやイージーミスでチャンスを逸する展開が散見され、結果として実力以上の完敗を喫した点は大いに反省が必要。日本の強みを生かすために個々のプレーや試合展開で何が必要か、残すところ2週間となったW杯までに修正し、克服してもらいたい。特にプレースキックの成功率の低さは、一発勝負の決勝トーナメントでは命取りになりかねず、プール戦から修正されたキックを確認したい。
欧州勢は、アイルランド、フランスなど上位ではおおむね順調な仕上がりを見せるが、パシフィックネーションズのフィジーやサモアの健闘が光る試合もあり、特にティア1の下位では混戦の様相。同組となったこれらのアイランダー勢が台風の目になりそう。
南半球勢では、連覇を含む過去3回の優勝を誇るニュージーランドが同じくW杯優勝3回のライバル南アフリカに第三国でまさかの大敗を喫し、不穏な空気が漂い始めた。総キャップ数1400を超えるベテランぞろいのメンバーだけに本番に向けた修正力に期待したい。オーストラリアも勢いなく開催国フランスに完敗。こちらも課題は多いが、新しいメンバーの台頭もあり、本番での飛躍に注目したいところ。一方南アフリカは先月末のザ・ラグビー・チャンピオンシップのアルゼンチン戦から徐々に力を発揮して4連勝と波に乗り、これ以上ない状態でW杯本番を迎える。アルゼンチンもその南アフリカ相手に互角の勝負を見せており、今週も格下相手とは言え力の差を見せつける完勝で充実ぶりがうかがえる。
世界ランキング(8月28日更新)
| 順位 | 変動 | 協会(国・地域) | レート |
|---|---|---|---|
| 1 | →(1) | アイルランド | 91.82(→) |
| 2 | ↑(3) | 南アフリカ | 91.08(↑) |
| 3 | ↑(4) | フランス | 89.22(→) |
| 4 | ↓(2) | ニュージーランド | 89.06(↓) |
| 5 | →(5) | スコットランド | 84.01(→) |
| 6 | ↑(7) | アルゼンチン | 80.86(→) |
| 7 | ↑(8) | フィジー | 80.28(↑) |
| 8 | ↓(6) | イングランド | 79.95(↓) |
| 9 | ↓(8) | オーストラリア | 79.87(→) |
| 10 | →(10) | ウェールズ | 78.26(↓) |
| 11 | →(11) | ジョージア | 76.23(→) |
| 12 | →(12) | サモア | 76.19(→) |
| 13 | →(13) | イタリア | 75.63(↑) |
| 14 | →(14) | 日本 | 73.29(↓) |
| 15 | →(15) | トンガ | 70.29(→) |
※ 変動とレートの↑は上昇、↓は下降、→は変動なし










