【6N】シックス・ネーションズ2024第1節
総評
例年どおり2月1週に開幕した2024年のシックス・ネーションズは、ホームチームが全て敗れる波乱の幕開けとなった。特にフランスはレッドカードによる退場で人数不利が大きく影響したとは言え、内容的にも完敗で、今後の立て直しが大きな課題となった。イタリアは未勝利のイングランド相手に序盤優勢に進めるもあと一歩及ばなかった。ウェールズは終盤に追い上げを見せたが届かず、地元での痛い敗戦を喫した。
フランス 17 v 38 アイルランド
地元大会での失意のベスト8敗退から巻き返しを期すフランスは、ホームでアイルランドを迎え撃った。しかし、序盤から圧力をかけるアイルランドに徐々に押され気味となり、PGを献上した後の9分にはラインアウトやブレイクダウンの要として期待のかかったLOポール・ヴィレムサが危険なタックルでバンカー付きのイエローカードとなり一時退場(シンビン)。ここでは相手の態勢が沈んだことに起因すると判断されてイエローのままとなったが、人数で劣勢となる中ついにSHギブソン=パークにトライを献上してしまう。シンビンが明けて徐々に勢いを戻したフランスは27分にようやくPGを獲得。しかし反転して攻め込まれた自陣ゴール手前で引退表明のセクストンに代わってSOを務めたジャック・クローリーに絶妙なサインプレーを決められてトライを許し、コンバージョンも決まって3対17と突き放される。更にその間のプレー中にすでにイエローカードをもらっていたヴィレムサがまたしてもハイタックルを犯してしまい、バンカーの結果を待たずしてレッドカード退場となってしまった。1人少ないフランスはそれでも前半終了間際、サインプレーからWTBダミアン・プノーが抜けてトライを返し、前半を10対17で終えた。
後半早々にPGの機会を得たフランスであったが、名手FBトマ・ラモスが外して勢いを削がれると、流れは一気にアイルランドへ。46分(後半6分)この日WTBで先発したカルヴィン・ナッシュがゴールに飛び込んでトライ。フランスも反撃して53分にラインアウトからのモールを押し込んで相手の反則(コラプシング)を誘い、LOに復帰・先発したポール・ガブリヤーグが認められてラモスのコンバージョンとともに7点を挙げ、アイルランド主将のFLピーター・オマホニーのイエローカードも加わって流れを呼び戻す。しかし、この日プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選出されたLOジョー・マッカーシーなどFWの圧力に勝るアイルランドは崩れることなくゲームを立て直し、63分にはゲームを決めるHOダン・シーハンのトライ(ボーナスポイント)を獲得。7点差から再び14点差となってフランスの焦りを誘い、終了間際の78分には後退して入ったHOロナン・ケラハーがダメ押しのトライを挙げて万事休す。終わってみればアイルランドの圧勝の結果となった。
フランスは主将のSHアントワーヌ・デュポンを欠いたことが結果的にゲームコントロールやモーメンタム(勢い)の面で大きく響き、流れをつかみきれないまま終わってしまった。HOジュリアン・マルシャンの復帰などプラス材料がないわけではなく、ほか主力の怪我からの復帰を待ちつつ、次戦スコットランドに向けてチームの立て直しを図りたい。
アイルランドは、W杯でその座を明け渡したとは言え、長く君臨した世界ランキング1位の実力は健在で、POMのマッカーシーやHOケラハーなど新しい力も台頭してきており、快勝とともに今トーナメントの盤石ぶりを見せつけた。連覇とともに連続グランドスラムも大きく視界に入った試合となった。
イタリア 24 v 27 イングランド
未だイングランド戦で勝利のないイタリアは、地元ローマ(スタディオ・オリンピコ)で万全を期して臨んだ。素早い展開で徐々にペースをつかんだイタリアは、5分にFBトマソ・アランのPGで先制すると、SHで先発したガルビシ兄弟の弟アレッサンドロが11分にインゴールに飛び込んでトライ。ゴールも決まって10対0と好スタートを切った。しかし、得意のキッキングゲームで徐々に盛り返すイングランドは、16分のSOジョージ・フォードのPGから流れをつかみ、ゴール前の展開からWTBエリオット・デイリーがトライを決めて2点差に詰め寄る。イタリアも負けじと早い展開からすぐさま(26分)FBアランのトライを創出し、17対8と突き放す。それでも試合巧者のイングランドは慌てることなく、得意のキッキングゲームを徹底し、33分、38分とSOフォードが確実にPGを決めて3点差で前半を折り返した。
後半に入っても流れを渡さないイングランドは、序盤からプレッシャーを与え続けると、イタリアの守備の乱れを突いたSHアレックス・ミッチェルが45分にトライを挙げて逆転に成功。その後もキッキングゲームからのPGで着実に点数を重ね、気づけば17対27と1トライでは追いつかない点差にまで広げてしまった。その後終盤にイングランドWTBエリオット・デイリーがイエローカードでの一時退場を受けて反撃を続け、試合時間経過後の85分にようやくトライを奪うも時すでに遅し。イタリアは、過去最少点差となる24対27の3点差とは言え、目の前にあった勝利をつかみ取ることはできなかった。
イングランドは、SOに怪我で欠場したマーカス・スミスに代わって手堅いジョージ・フォードを起用したことでキッキングゲームの意識が徹底され、結果として僅差の勝利につながった。
ウェールズ 26 v 27 スコットランド
W杯ではベスト8進出の段階で明暗の分かれたウェールズとスコットランドは、結果を残したウェールズのホーム、カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで行われた。「死のプール」で苦杯をなめた一方のスコットランドは、次大会での巻き返しに向けた万全の体制で乗り込んだ。
序盤はお互い勝手知ったる相手との対戦で優劣のつかない展開であったが、ウェールズのわずかなミスから徐々にスコットランドの流れになり、7分のPGで勢いをつかんだスコットランドが得意の展開から最後はPRピエール・ショーマンが押し込んで先制トライ。その後何度か訪れたウェールズのチャンスもうまくしのぎ切ったスコットランドは、23分のPGからゲームを支配し、30分にはWTBドゥーハン・ファン・デル・メルヴァに待望の追加トライが生まれてウェールズを圧倒。前半を0対20の完ぺきな内容で折り返した。
後半に入っても勢いは止まらず、43分にこの日2本目となるファン・デル・メルヴァのトライを挙げて勝負あったかに見えたが、ここでようやくスイッチが入ったウェールズも反撃し、直後の再開から一気になだれ込んでFLジェームズ・ボサムがトライ。スコットランドHOジョージ・ターナーのシンビンもあり、一気に反転攻勢を強め、53分にはWTBリオ・ディヤーがトライしてコンバージョンと合わせて12対27。61分にはスコットランドCTBシオネ・トゥイトゥポウがイエローカードとなり、その気に乗じてNo.8アーロン・ウェインライトがトライ。さらに攻め立てるウェールズは68分にも後半に交代で登場したFLアレックス・マンがトライを決めてSOイオアン・ロイドのコンバージョンも決まってついに1点差まで迫った。ここからはウェールズが攻め立て、スコットランドがしのぐ展開が続いたが、結局両チームとも得点を挙げられず、スコットランドが辛くも逃げっ切った。
ウェールズにとっては地元で手痛い敗戦。元来スロースターターのきらいはあったものの、それにしても序盤の失点が大きくのしかかり、勝利をつかむことはできなかった。それでも一方的になりそうな展開を押し戻しての惜敗は今後につながる成果もあるとみられ、次戦アウェイでのイングランドに向けてさらにチームの結束を高めたい。
序盤の快勝ムードが一変して冷や汗をかいた形のスコットランドは、それでもアウェイでの貴重な勝利をつかみ取り、勝手兜の緒を締められる機会を得たと前向きにとらえたい。次戦地元でのフランスが今後の試金石となるため、SOフィン・ラッセルの多彩な展開からの決定力をさらに上げていきたい。
世界ランキング(2月5日更新)
| 順位 | 変動(前週) | 協会(国・地域) | レート |
|---|---|---|---|
| 1 | →(1) | 南アフリカ | 94.54(→) |
| 2 | →(2) | アイルランド | 92.11(↑) |
| 3 | →(3) | ニュージーランド | 89.80(→) |
| 4 | →(4) | フランス | 86.28(↓) |
| 5 | →(5) | イングランド | 85.80(↑) |
| 6 | →(6) | スコットランド | 84.45(↑) |
| 7 | →(7) | アルゼンチン | 80.68(→) |
| 8 | →(8) | ウェールズ | 79.62(↓) |
| 9 | →(9) | オーストラリア | 77.48(→) |
| 10 | →(10) | フィジー | 76.38(→) |
| 11 | →(11) | イタリア | 75.58(↓) |
| 12 | →(12) | 日本 | 74,27(→) |
| 13 | ↑(14) | ジョージア | 72.68(→) |
| 14 | ↑(15) | サモア | 72.23(→) |
| 15 | ↑(16) | トンガ | 71.57(→) |
※ 変動とレートの↑は上昇、↓は下降、→は変動なし
