【RWC】2023フランス大会決勝トーナメントプレビュー

RWC2023フランス大会のプール戦が現地時間8日までに全て終了し、地元フランスやニュージーランド、世界ランキング1位のアイルランドなど、決勝トーナメント進出国が決定した。次週の決勝トーナメントを前に、予選プールの結果の分析と決勝トーナメントでの展開予想を書き残しておきたい。
なお、大会の概要や優勝予想などについては別途固定ページに詳細を掲載しているので、本記事とあわせて参照していただきたい。
目次
Toggleプール戦結果
総評
プール戦は、プールA、プールBでそれぞれフランス、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカが順当に勝ち上がったほか、イングランド、ウェールズが戦前の苦戦予想に反して首位通過を決め、ティア1やホームユニオンの底力を見せつける結果となった。一方で、第1回大会以来連続して8強入りを続け、過去2度の優勝経験を誇るオーストラリアの予選敗退や、そのオーストラリアに勝利して決勝トーナメント進出を獲得したフィジー、さらにそのフィジーに競り勝って2回目の出場でW杯初勝利を挙げたポルトガルなど、過去大会にない新しい場面も多く見られた。初出場チリは、勝ち星には恵まれなかったものの、実力をいかんなく発揮して多くの好プレーを見せ、大会を盛り上げた。日本はアルゼンチンに競り負けて決勝トーナメント進出を逃し、2大会連続のベスト8以上はならなかった。
プールA
フランスとニュージーランドが実力どおり決勝トーナメント進出を決め、直接対決の開幕戦を制したフランスが首位通過となった。
イタリアはランク下のウルグアイやナミビアとは格の違いを見せつける勝利を挙げたが、攻撃のバリエーションや瞬時の判断力、勝負所での決め切る力など、真の実力で上位との差をつけられている印象は否めず、戦力の底上げや上位各国を出し抜くようなオリジナリティが課題となった。
ウルグアイは3大会連続5回目の出場で良さや実力は出し切れたものの、上位勢との実力差は大きかった。同様にナミビアも7大会連続で出場しており、W杯の舞台には臆せず試合に臨んでいたが、ウルグアイを含む他国との実力差は否めなかった。
プールB
世界ランキング1位のアイルランドと直前のテストマッチでニュージーランドを歴史的大差で破った南アフリカが結果的に「死のプール」を順当に勝ち抜いた。
一方、スコットランドは、初戦の南アフリカ戦でPG1本のほぼ完封を喫して波に乗れず、実力拮抗と思われたアイルランドとは水をあけられている印象で、戦前の予想以上に差のある敗戦となった。キャリー数やオフロード数、ラインブレイク数で全体を通じて好成績(前二つはトップ、後者は2位)を収めたが、肝心の強豪国との対戦ではあと一歩ゴールラインを割ることが出来ず、反則をしない強固なディフェンスを前にしてもなお突破できる攻撃の柔軟性や応用力、そしてそれを試合で前後半通じて発揮し続けられる選手層の厚みが課題と言える。
トンガは最終ルーマニア戦で良さを見せたものの、プレー精度が強豪国と比べて低く、反則で好機を逸する場面が多く見られた。ルーマニアは国内事情もあってか元気なく全敗で大会を終えた。
プールC
若手中心の新しい体制で臨んだオーストラリアが、主将に指名したLOウィル・スケルトンを早々に怪我で欠き、試合の中での立て直しなど終始後手に回って好機を得点に変えられずに苦しみ、初のプール敗退が決定した。自国での次大会に向けて抜本的なチーム改革が必要になると見られ、今大会での苦い経験を飛躍につなげたい。
首位通過のウェールズは、飛び抜けた実力差は見られなかったものの、巧みなゲームコントロールで常に優位を作り、わずかな好機を確実にモノにして終わってみれば4戦全勝、ボーナスポイント3の完勝で決勝トーナメントに弾みをつけた。
今大会大躍進のフィジーは、強豪オーストラリアに快勝し、ウェールズにも接戦を演じたが、最終ポルトガル戦で大会初勝利を献上するなど不安定さが見られた。決勝トーナメントに向けては、初戦イングランドに大会前のウォームアップマッチで勝利したようなゲーム展開を目論んでの再度の引き締めと準備が必要になる。
ポルトガルは出場2回目にしてうれしい初勝利を手にした。最後まで粘り強くプレーし、自分たちの持てる力を最大限発揮しての勝利に好感が持て、決して恵まれてるとは言えない国内のラグビー熱を上げ、代表の今後の強化につなげたい。ジョージアは侮れない実力を見せはしたが、勝利を目指したポルトガル戦で痛い引き分けとなるなど、運にも恵まれず未勝利のまま大会を終えることとなった。
プールD
大会前のレッドカードなどで危ぶまれたオーウェン・ファレル主将など主力の不在にもかかわらず、代役SOジョージ・フォードのドロップゴールなどあらゆる手段を駆使して勝ちをもぎ取り、4戦全勝を挙げたイングランドが堂々の1位通過となった。あわやもあり得ると見られていた日本やアルゼンチンにもあっさりと快勝し、選手層の厚さや手堅いゲーム運びが光るプール戦となった。
アルゼンチンは、大会前の予想に反してなかなか実力の発揮できない試合が続いていたが、最後まで気を抜くことなくボールを追い続ける集中力やチームの一体感が上回り、重要な日本との対戦に勝利して決勝トーナメント進出を決めた。
日本はアルゼンチンとの実力差はそれほど大きくないというところを見せたが、イングランド戦も含めて、その小さな差が結果的に大きな差となって勝敗を左右することになるということをまざまざと見せられた。不用意なキックやブレイクダウン周辺での細かなミス、ハイタックルなど大きなポイントとなる場面でのタックルミスなどが結果に結びついており、勝負どころの意識共有と集中力が大きな課題と言える。監督の交代が明言されており、次期体制をにらみつつ、次の代表メンバーに期待したい。
サモアは、最終イングランド戦で意地を見せ、あわやの場面を作ったが、結局勝ち切れずにチリ戦の1勝のみで大会を去ることとなった。ハイタックルに象徴される反則の多さやパスミスなどプレーの粗さは今後一層の上位を目指す上で改善が必要だろう。チリは初出場らしく全力プレーで良い場面を多く作り、勝利はならなかったが、次につなげる大会となった。
ノックアウトステージ展望
概況
プール戦前のプレビューと同様、開催国フランスが第一の優勝候補と見る。第二に調子の良い南アフリカに勝ち切ったアイルランドが来る。両者は決勝まで対戦がないため、初戦で勝ち抜けられればファイナル進出は固いと見るが、初戦に難敵を控えており、しっかりと準備したい。
南アフリカは初戦のフランス戦で勝利できれば波に乗っての連覇、4度目の制覇も視野に入るが、フランスの仕上がりからして厳しい試合になると想定される。一方、ニュージーランドは実力を見せつけたアイルランドとの対戦になるが、初戦のフランス戦を落として以降は徐々に実力を発揮し、本来のスピードや展開力、ターンオーバー能力の高さを見せており、勝機は十分とみる。
大会前に不利とみられていたウェールズとイングランドは、予想に反して最高の結果を残しており、比較的に恵まれた決勝トーナメント初戦に向けて負けないラグビーがしっかりとできるチームに仕上がっている。ただし、イングランドは最終サモア戦に勝利したものの1点差の辛勝で不安を残しており、次週のフィジー戦に向けて、大会前に痛い初黒星を喫した相手の分析が重要になる。
アルゼンチンとフィジーはプール戦の内容が期待ほど高くはなく、決勝トーナメントに向けて巻き返しを図りたい。
勝敗予想
優勝 フランス
準優勝 ニュージーランド
3位 ウェールズ
4位 イングランド
ベスト8 アルゼンチン、アイルランド、フィジー、南アフリカ