ラグビーのルールは難しいとよく言われますが、どんなスポーツも最初はとっつきにくいもの。日本で盛んな野球にしても、全く知らない人にとってはとても難しいルールがありますが、皆楽しんで観戦しているように、ラグビーも基本的な知識さえ身に着けられれば、野球やサッカーなどと同じように楽しむことができます。
このページでは、細かいルールはともかくとして、試合を観戦するときに知っておきたいごくごく基本的な知識をご紹介します。
詳細なルールは統括団体World Rugbyが定義していますので、興味がある方はリンク先をご覧ください。

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人数とポジション

ラグビーは1チーム15人*、総勢30人で楕円型のボールを取り合い、得点を競う競技です。

* 各チーム7人又は10人で競い合う場合もあります。ここでは、特に15人制ラグビーについて解説します。

15人の内訳(ポジション)は次のとおりです。

※ カッコ内は略称です。

フォワード(FW):8人

番号ポジション略称説明
プロップ(左)PR「支柱」の意でスクラムの最前列左側
フッカーHOスクラムでボールを搔き入れる(フック)役割
プロップ(右)PR「支柱」の意でスクラムの最前列右側
ロックLOスクラム2列目でラインアウトのキャッチャー
ロックLO同上
フランカーFLスクラムの外側について押し込みとボールの獲得を担当
フランカーFL同上
ナンバーエイトNo.8スクラムの最後尾でボールをコントロール

FWは1~3の前1列(フロント・ロー)、4・5の2列目(セカンド・ロー)、6~8の3列目(サード・ロー又はルース・フォワード)でスクラムを組みます。

バックス(BK):7人

番号ポジション略称説明
スクラムハーフSHスクラムにボールを流し入れ集団戦からボールを展開
10スタンドオフ*SOボールを最初に受けゲームをコントロール
11ウイング(左)WTB**バックスラインの外側でボールを受け得点を決める役割
12センターCTB**バックスラインの中央で防御と攻撃の要のポジション
13センターCTB**同上
14ウイング(右)WTB**バックスラインの外側でボールを受け得点を決める役割
15フルバックFB最後尾で最終防衛線を担い攻撃時の切り札

* スタンドオフ(SO)は、別名「フライ・ハーフ(FH)」や「ファイブ・エイス(FE)」などとも呼ばれます。日本ではSOが一般的ですが、欧州ではFHと呼ばれるのが一般的になっています。
** 11~14を総称してスリー・クオーター(3/4)・バックスと呼びます。このうち、11と14はウイング・スリー・クオーターバック(WTB)、12と13はセンター・スリー・クオーター・バック(CTB)です。また、12は国によって(主にニュージーランドで)10の役割と同視して、10を「ファースト・ファイブ・エイス」、12を「セカンド・ファイブ・エイス」と呼ぶことがあります。

このほかにリザーブメンバーが8人認められており、総勢23人がベンチ入りします。リザーブのうち1~3の交代選手は必ず1名ずつ組み入れることになっています。

得点

得点は、相手方のゴールエリア(これを「インゴール」と言います。)にボールを置く(より正確には、手や腕でインゴールに押さえる=グラウンディングすることを言います。)ことで認められる「トライ」が5点、トライを得られた後与えられるゴールチャンス(これを「コンバージョン(キック)」と言います。)で2点、相手のペナルティ(重い反則)で狙うことができるペナルティ・ゴール(PG)で3点、フィールドのいずれかの位置からボールを地面にワンバウンドさせて蹴ってゴールするドロップ・ゴール(DG)で3点が得られます。一度に獲得できる最大の得点は7点(トライ5点+コンバージョン2点)ということになります。

なお、軽微な反則(ボールを落とす「ノックオン」やボールを前に投げる「スローフォワード」など)では得点機会は与えられず、相手ボールでのスクラムから試合を再開します。

フィールドの外側の縦ライン(これを「タッチライン」と言います。)からボールが外に出ると、出た地点のラインを中心に両チームが分かれ、ボールを投げ入れる「ラインアウト」で試合を再開します。ボールを投げ入れるのは、原則としてボールを蹴りだしたチームの相手側ですが、ペナルティ後に蹴りだした場合は、蹴りだした側のボールになります。

World Rugby 競技規則「1.グラウンド」参照

コンバージョン、PG、DGは、相手陣のゴールライン中央にある2本のゴールポストの間かつポストをつなぐクロスバーの上部に所定の方法(ボールをワンバウンドさせて蹴る「ドロップキック」又は地面に置いたボールを蹴る「プレースキック」)で蹴り込むことで得点になります。

World Rugby 競技規則「1.グラウンド」参照

試合時間

試合は、前後半40分ずつ、合計80分で行われます。ただし、けがの治療やビデオ判定(これを「Television Match Official(TMO)」と言います。)、ウォーターブレイクなどの時間は除きます。試合終了時間が経過した時点でプレーが続いているか、ペナルティでゲームが途切れた場合には、ゲームが終わることはありません。コンバージョンはトライ時点で試合時間が終了していても得点機会として認められるので、試合終了時間の時点で7点差以内なら同点又は逆転のチャンスがあります。

基本的なルール

ラグビーで基本となるルールは、次の5つです。

  1. ボールを前に投げない。
  2. ボールより前でプレーしない。
  3. ボールを持っているプレーヤーにしかタックルしない。
  4. 膝をつく又は寝ている状態でプレーしない。
  5. 集団戦を故意に崩さない。

ラグビーでは、主に上記5つが基本となるので、もう少し細かく説明します。

ボールを前に投げない。

ラグビーは、ボールを前に投げることができず、故意か否かを問わず、投げると「スローフォワード」という反則になります。「投げる」ことができないという点がポイントで、ボールを蹴って自分より前方に飛ばすことはできます。

ラグビーはサッカーと同じく英国のフットボールから派生しており、元々は主に足を使ってボールを扱う競技でしたが、それを手に持って良いルールに改めて成立したという経緯もあり、協議制を考慮してボールを投げることには制約が設けられています。

ボールを前に投げられないので、それに類する行為、例えば、ボールをボールを前に落とすこと(これを「ノックオン」と言います。)や自分より前にいるプレーヤーに手渡すこともできません。逆に、後方に落としたり、後ろにいるプレーヤーに手渡すことはできます。

ボールより前でプレーしない。

基本ルール1にもつながりますが、ラグビーでは基本的にプレーに参加できるのはボールより後ろにいるプレーヤーだけです。ボールを前に進められるのは蹴ることだけですが、蹴った時点で前にいるプレーヤーにわたってしまっては意味がないので、プレーヤーはボールを起点にした位置取りの制約を受けることになります。

例えば、ボールを蹴って前に進めたときに、そこにいた味方のプレーヤーがそのボールに触る(より正確には近づく)と「オフサイド」という反則になります。

この発展形で「ポイント」という考え方があり、ボールを中心とした集団戦(スクラムやラインアウトなどのセットプレーやモール、ラックといった非セットプレーを含みます。)となった場合は、「ポイント」ができたとみなされ、その集団から一定の位置に「オフサイドライン」という仮想の線引きをして、それより後ろにいるプレーヤーしかプレーに参加できない制約が設けられています。例えば、スクラムの場合は、ボールを出すSHを除いて、味方の最後尾の足元から5m後方がオフサイドラインになり、5m以内に近づいてプレーするとオフサイドの反則を取られます。同じくラインアウトは中央から10m、ブレイクダウン(モールやラックの総称)では集団に絡んでいる味方の最後尾(足元)がそれぞれオフサイドラインになります。

また、集団戦になった後から参加するプレーヤーは、集団戦の後ろ側から入る必要があります。ポイントがボールを含んだ一つの塊になっているというイメージが分かりやすいかもしれません。

なお、ボールがどちらかのインゴールに入っている場合は例外で、この限りではありません。

ボールを持っているプレーヤーにしかタックルしない。

ラグビーで相手の攻撃を止める方法として認められているのがタックル(相手につかまって倒すこと)ですが、タックルはボールを持ったプレーヤーに対してしかできません。ボールを持っていないプレーヤーにタックルすると「ノーボールタックル」という反則になります。

また、攻撃側のプレーヤーが相手プレーヤーにわざと当たることもできません。これは、ボールを持っているプレーヤーにしかタックルできないことを逆手に取った妨害行為とみなされ、「オブストラクション」の反則になります。

ラグビーでは、防具などの装備を付けずにプレーすることから、タックルを受けるプレーヤーは自分の状況を把握しておく必要があり、このルールが安全面への配慮(ボールを持ったらタックルを想定すること)にもなっています。

膝をつく又は寝ている状態でプレーしない。

ラグビーでは、ボールを持ったプレーヤーも、それ以外のプレーヤーも、立った状態でプレーすることが求められます。寝ている状態はもちろん、膝をついていてもプレーできません。そのような状態でプレーすると「オフフィート」(立っていない)の反則になります。

倒れた状態でボールに関与することはゲーム性を損ない、いたずらに遅延をもたらす要因になるため、横たわった、又は、膝をついたプレーヤーは、速やかにプレーできる状態になって参加するか、直ちにボールやその周辺から離れなければなりません。

また、逆に立ってプレーしているプレーヤーがボールを持って(又はボールの周辺に)倒れているプレーヤーに倒れ掛かって倒れ込むことも禁止されています。

集団戦を故意に崩さない。

集団戦、特にプレーヤー同士が立っている状態で成立するスクラムやモールで、故意に立っている状態を崩すことはできません。故意に崩したと判定されると「コラプシング」(落とす)などの反則になります。

また、集団戦の状態になった後に手を使って邪魔をしたり*、ボールの上に覆いかぶさったりするなどの妨害行為もできません。

* ボールがプレーヤーの手元にある「モール」の場合は、正当な位置にいる相手プレーヤーは手でボールにアクセスすることができます。

ラグビーの集団戦は主にFWの役割で、相手と味方の8人ずつ合わせて16人ものプレーヤーがボールを争奪するため、故意に崩すことで多数のプレーヤーが覆いかぶさるなどの危険が伴うし、ゲームの健全な進行の妨げにもなるため、どれだけ押し込まれたとしても組み合った状態を維持しなければなりません。

まとめ

ほかにも、ライン上は中央から見て外側として扱うこと(例えば、タッチラインを踏むとタッチ、相手陣ゴールライン上でボールを置くとトライなど)や危険なプレーへの厳罰、また、「One For All、All For One」「No Side」に代表される献身やフェアプレーの精神の尊重などがありますが、詳細は別の項に譲ります。

細かいルールはありますが、大きくは上記の5つの基本を押さえておけば、ラグビーの試合を楽しんで観戦することは十分できると思いますので、まずは頭に入れておきましょう!